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読んでいない本について堂々と語る方法
著者
ピエール・バイヤール/大浦 康介
出版社
筑摩書房
発売日
2016年10月06日頃
ISBNコード
9784480097576
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感想
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概要
精神分析医でもあるピエール・バイヤールによる読書論。
本書では「読んでいない本について堂々と語る」ための心構えを導くための前段階として、そもそも「本を読む」ことはどういうことなのか、「本について語る」ことはどういうことなのか、という2点を深く考察している。
本との付き合い方に一つの指針を与えてくれる本。
読書メモのまとめ
共有図書館
- 書物はそれ単独で語られるのではなく、他の書物との相対的な位置付けで語られる
- ある文化の方向性を決定づけている一連の重要書の全体(p.28)を
共有図書館
と呼ぶ - 人々がある書物について語るには、
共有図書館
におけるその書物の位置付けを知っていれば良い
遮蔽幕(スクリーン)としての書物
と内なる書物
- 人々がある書物について話題にするとき、それは物質的な本ではなく、
遮蔽幕としての書物
についてである 遮蔽幕(スクリーン)としての書物
は、その本について自分が知っていると思っていることの集合- 人々が本を読むということは、物質としての書物のテクストと読者の間を
内なる書物
が仲介し、読解の仕方を決定づける 内なる書物
は読者それぞれによって異なるので、書物の主観的な解釈の結果としての遮蔽幕(スクリーン)としての書物
が生じる
ヴァーチャル図書館
と幻影としての書物
- 書物について語るとき、
ヴァーチャル図書館
が生まれる ヴァーチャル図書館
では、複数の遮蔽幕(スクリーン)としての書物
が出会った結果、幻影としての書物
が生まれ、これについて語られる
批評について
- 批評とは、創作物について語るのではなく、創作物を介して自分自身を語ることである
印象的な言葉
われわれはたんに〈内なる図書館〉を内部に宿しているだけではないからである。われわれ自身がそこに蓄積されてきた書物の総体なのである。 (p.94)
つまり、書物から抽出され、手直しされた抜粋によって、われわれの人格に欠けている要素を補い、われわれが抱えている裂け目を塞ぐ、そうした役割を果すのである。(p.154)
書物は固定したテクストではなく、変わりやすい対象 (p.174)
本は読書のたびに再創造される (p.214)
感想
本を読むという行為について、これほど具体的に語られた文書は見たことがなかったので、一人の読書者として知見が広がったという感じがします。
読書が好きな理由の言語化が難しかったのが、この本を通してある程度、自分の中で腹落ちした感覚があります。
『読んでいない本について堂々と語る方法』というタイトルではありますが、本を読むことが好きな人こそ触れるべき著作だと思います。